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教育・子育て応援セミナー4月
教育・子育て応援セミナー 4月
「偏差値」
~偏差値に踊らされないためにも「偏差値」を知る~
前月のセミナーテーマは「IQ」であった。今月は「偏差値」である。
この「IQ」と「偏差値」には奇妙な関係がある。人間の認知能力を可視化するために発明されたIQ(知能指数)は、その性質上、現在の学校教育現場においてはとてもデリケートな取り扱いがなされている。人を簡単にIQに置き換えて評価することに対する抵抗感のようなものがあることから、IQという単語を使うことすらタブー視されているのが現状だ。
そのIQに代わって人の学習能力を可視化するために開発されたのが偏差値である。
ある集団の中で、自分の学習能力がどれだけ「優っている」か「劣っている」かを判断する手段として、偏差値は大いに活用されてきたし、今でもそれに頼った学習指導をしている教育機関も多い。
「偏差値が高い」ということは、その集団の中における「学習能力のポジションが高い」ということであり、IQとは違って、そのポイント(偏差値)は常に相対的だ。つまり偏差値とは「誰かと比べるためのもの」といった認識が教育現場で広まったことにより、この偏差値によって子どもたちの競争原理が活発になった。よって偏差値を競うこと自体が目的となって、その延長線上に中学・高校受験や大学受験が、そのゴールとして設定されている。
偏差値が高い人々が集まってくる学校が「良い学校」であるといったヘンテコな常識にも異を唱える人々は減った。だから親は子に「偏差値を上げる」ために経済的投資を惜しまない。塾や予備校は「偏差値を上げる」ための十分な手ほどきを怠らない。こうして「偏差値を上げる」ことが「良い学校」に入るための手段となり、「良い学校」は「良い企業」に入るための登竜門となった。
しかしながらそういった「偏差値神話」には、残念ながら未来はない。一部の…、たぶん全体の1~2割の家庭やその子どもたちにとっては、これからも「偏差値神話」は生き続けるであろう。その意味で偏差値教育と偏差値による学校比較文化もなくなりはしない。
だが、その他の家庭やその子どもたちにとって、すでに偏差値教育は「ナンセンスなもの」になっている。偏差値など二の次、三の次なのだ。そんな人々は「競争」ではなく「共存」を選ぶ。そして人々が「共存」するためには、これまでの「学習偏差値」では計ることができない尺度が絶対に必要となる。
そしてそういった方向に企業の人事採用も動き始めた。
高偏差値を追い続けること自体が、むしろ周回遅れになってしまう…。そんな時代である。
開催日時:2025年4月26日(土)20:00~22:00
講師:井上びん(教育の未来プロジェクト)
形式:オンライン(Zoom)
費用:1000円
- 参加費
- 1000円
- 形式
- オンライン(Zoom)
- 対象者
- 社会人・保護者・学生など教育に興味のある方ならどなたでも
- 講師
- 井上びん(教育の未来プロジェクト)
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