「国語教育の現状と課題」セミナー実施報告

 1月の「教員応援セミナー」が、18日(土曜日)に実施されました。「国語教育の現状と課題」というテーマで、国語教育研究アドバイザー中村浩司先生の「熱い講義」を受け、参加者のみなさんにも感動と大きな発見があったであろうと思います。

 現行の「国語教育」は、学校のそれと予備校・塾のそれとは少し違うようです。高校受験や大学受験での「国語能力(成績)向上」を期待される予備校や塾では、入試問題を解くことに重点が置かれています。つまり現代文を科学的に分析し、そのロジックを正確につかみ取ることで作問者の問うている正解に近づく方法をテクニックとして学ぶのです。そしてその傾向は、進学実績を追い求める昨今の学校国語教育にも顕著に現れている、といいます。学校の国語教育が受験国語にシフトしているのです。

 しかし中村先生は、その傾向に疑問を呈しています。私たちが中学や高校で「教わってきた」国語の授業の中で、今でも鮮明に思い出される、つまりは「心に残る」授業とは、例えば授業担当者が得意気になってそのテクニックから解法へと導いたところの「入試問題解法授業」ではなく、「ごんぎつね」や「山月記」、「舞姫」などの文学作品にこそ、深い思い入れと感傷があるのではないか…、というのです。

 難しい「評論」を読ませて、それを正確に読解することは、受験国語でなくとも子どもたちに必要な能力としては重要なものでしょう。それを例えば高校の新学習指導要領では「論理国語」で身につけさせます。そしておそらく、受験に特化した高校は、この「論理国語」に相当の時間を割いて予備校まがいの授業を展開する…、それが子どもたち(受験生)の需要にも応えることになるからだと考えられるからです。

 しかし私たちがかつて「心躍らせた」ような「文学」と、彼らはどのように対峙していけばいいのでしょうか。新学習指導要領では「文学国語」なる科目が新設されているにもかかわらず、それへのアプローチが希薄になってしまいかねない国語教育の現状があるのです。

 そういった文学軽視の風潮に一石を投じることができる可能性を秘めているのが、国語授業における「アクティブラーニング化」でした。アクティブラーニングで国語を学ぶ…、そのこと自体に無理があるような気もしますが、深く授業研究を続ける中村先生には、その未来のカタチがしっかりと見えていました。そしてそんなアクティブラーニングを融合させた実際の授業を体験した時、私たちの脳は、それまでとは違ったある種の化学反応を起こしたような…、そんな新鮮な体験ができました。

 以下に参加者の率直な感想を紹介します。

<社会科教員> 浪人をした時にひたすら評論文と向き合って予備校の先生にテクニックを伝授してもらっていた頃を思い出しました。大人になってあの時間はムダではなかったと思います。ただ学校教育となるとそれだけでは足りないということは同じ教員として痛感しています。学校教育としてできることとは何だろう、ということを考えるきっかけをいただきました。その一つの手法が話題のアクティブラーニングだと思うのですが、私自身もそのことについてよくわかっていません。勉強していかなきゃ、と感じるとともに、次回のセミナーにぜひ参加したいので期待しております。

<理科教員> 「文学国語」をやっていくことで生徒たちとの思い出の単元が増える…、これは教員の仕事をしていく上で非常に重要なことだと思いました。生徒たちからしても、後々に心の中に残るのはこういう内容だからです。

<社会科教員> 私も若い頃、予備校の教壇に立った経験があり、受験を追求した授業に嫌気のさした部分もありましたが、改めて今日話を伺い、それを融合することの必要性を再認識させていただきました。

<教員志望学生> 自分は教える人の立場ではなく、いち生徒としてどのような国語教育を受けていたかを思い出しながら、今回の話を照らし合わせて聞いていました。その上で、一番強く考えたことは、自分は考えながら授業を受けていなかったし、そんな機会すらなかったということです。ただただ黒板に書かれている教科書の文章を写し、なんとなく先生の解説を聞くくらいでした。だから今回体験した国語科のアクティブラーニングは非常に斬新な気持ちで体感できました。今後、予備校講師として国語を教えるので、今回の話を参考にしながら進めていきたいです。

<教員志望学生> 大学生という立場でお話すると、大学では文学についての知識や教養は学びますが、教職の授業になれば突然模擬授業をすることになり、高校や中学の時代の先生を思い出しながらの、見よう見まねでの「習うより慣れろ」的なものになります。そこでは「どうやって」教えるか、「なぜこれを」、「何を」教えるのかを学ぶことができないため、今回のようなセミナーは大変役に立ったと同時に、自分も将来、より上手く教えたいなとワクワクしました。

<音楽科教員> 国語力を高めることとは、そもそもどういうものか、国語の授業に何が求められているか、正直なところよくわからないのですが、何事でも「理解する」とか「考える」ことのベースは言語の基盤の上にあり、そこの力をつけることが国語なのか、と今日のお話を伺いながら考えていました。勢いのあるお話ぶりにひきこまれ、好奇心が高められる時間となりました。

<理科教員> 国語教育のあり方、授業のあり方、生徒が今もっている課題について…、トピックがたくさんあり、日頃の自分の教員としてのあり方にも思いをはさながら参加しました。たくさん刺激をいただけてありがたかったです。いかに初対面の生徒と早く打ち解けられるか、という授業者の側面からも興味深く考えることができました。

<国語科教員> 国語という科目は、本当に難しいものであると改めて思いました。その反面、奥が深く楽しい科目であることも思い出しました。本日の講義を聴き、新たに教員として国語の探究を生徒と共に進んでいこうと思いました。

考える、考える…。
書く、書く…。

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