教員の時短術(1)

 学校の教員には時間的な余裕がない…、と言われて久しいのですが、ホントにそうなのでしょうか? 小学校と中学校、それに高等学校の教員の時間的制約と働き方がそれぞれに違うので、一概に比較することはできないのですが、概ねそれぞれの職務を真面目に遂行した場合は、いずれの教員にも時間的な余裕は…、ありません。これは現実です。

 今、「それぞれの職務を真面目に遂行した場合」との前提を示しましたが、では、真面目に遂行しなかった場合は、どうなんでしょう? どんな学校(職場)にも、不思議と定時で仕事を切り上げて帰宅する人っていますよね。まるで「ドクターX」の大門未知子のような働き方で平然としている人…、あの人達って何者なんでしょう? 職場で皆が遅くまで残務に追われている中、「失礼しま~す!」なんて言ってシレ~ッと帰っていく人…、しかしその人たちを職場の皆さんはどこか白い目で見てはいませんか? 「自分勝手」「皆とは違う」「独善的」…、などとそれぞれがネガティブな形容で、その人の「他の人とは違う」部分を冷たい目で見ている…、それが現実なんじゃないでしょうか。けれども彼らの中のかなりの人々は「真面目に職務を遂行している」ところの教員である…、これもまた現実です。

 同調圧力が異常に強い日本型の組織にあって、学校という職場の同調圧力は、もう半端じゃないんですね。建前としては管理職以外の教員が、皆、「同じ仕事量」と「同じ責任」で機能しているところの職場ですからね…。「同じ仕事量」と「同じ責任」なのに、拘束される時間に差が出る(定時で帰る)ってことに、納得がいかないんですよね。だから、仕事を効率よくやり繰りして、実は定時に帰れる態勢をとっていても、何となく帰りづらい…、ただ漫然とおしゃべりに付き合っているだけの同僚ってのも、一定数存在します。

 教員にとっては、夜遅くまで仕事に従事するってことが美徳になっている風潮すらあります。特に中学・高校では、まずは部活の指導をきっちり行って、それで夜もすっかり更けた頃から、翌日の授業準備をしたり校務分掌に従事したり…、って、それでは帰宅できるのは8時や9時をとっくに過ぎてしまいます。けれどもその状態を「苦」にしたりはしていません。いや、むしろそんな時間帯に「子どものため」と称して仕事をしている自身に酔っている…、そんな傾向すらあります(これ、絶対にあります)。放課後の夜にまで子どもたちと付き合っているところの自分…、この状態に満足している自分を「止める」ことなんて、たぶん金輪際できないんです。なぜなら、それが自身の教員としてのアイデンティティーであり、自身を学生時代に育ててくれた教員(恩師)達も、ずっとそうやって教員の伝統を守り続けていきているのですから、そうしてあげることが子どもたちには一番の教育であり、それこそ教師冥利に尽きる…、そう思い込んでいるからなんです。

 そしてもう一つ、教員が中々定時で帰らない理由があります。実は放課後、特に部活終了後の職員室は、ある種の「サロン」と化している場合が多分にある…、だから管理職も不在、同調圧力の埒外にあって定時で帰る「変わった教員」も不在の職員室っていうのは、実はパラダイスなんです。何のパラダイスかって? 「夜の遅くまで残っていて、しかも学校の根幹に関わるような仕事を任されている自分たちこそが、学校を支えている」っていうある種の自己満足感が、そこに集う教員を一次的にトランス状態に陥らせます。よってこの時間帯にこそ、彼ら「特別な教員」は、理想の教育論を交わし合うのです。そしてその理想から遠くかけ離れた学校の現状を嘆くのです。とどの詰まり、管理職や先輩教員への愚痴が乱発するほどに、夜の職員室は「特別な教員」にとっての「サロン」…、であればまだましですが、場合によっては「居酒屋」的な場へと変貌していきます。つまり、教員は「夜の職員室で本音を語り」「夜の職員室で本性を出す」のです。

 そんな職場が「健全」なはずはありません。そもそも仕事の順序が逆ですよね。まずは放課後にやらねばならないそれぞれの業務をやりきること…、これを優先しなければダメでしょう。部活にしても放課後の子どもたちが部活動の態勢に入るまでの数十分間は、業務を遂行するべきです。部活での安全面が気になるのでしたら、管理職に頼んで顧問を複数制にする…、それで互いの学内業務を交替で完了させてから、思う存分に部活指導すればいいんです。それに中学や高校では一定数の「空き時間」というのが確保されていますから、その時間内に、特に授業教材の準備や研究なら完結させることができます。校務分掌作業や行事準備ですか? そういったものこそ、一年の最初、つまり年間行事計画が出された途端に取り組むことができます。そういった面では、良くも悪くも、学校という職場は「前例踏襲」を旨としますから、フォーマトやテンプレートを活用すれば、仕事の先回りは案外と容易いものです。要は、「その場にならなければやらない…」という悪い習慣を改めればいいのです。どうも教員の中には仕事の効率化や時間の有効管理が苦手な人が多いように感じます。一概には言えませんが、得てして「机の周りが整理できていない人」っていうのは、仕事はできてもその効率が著しく悪い、そして時間の管理が下手…、という印象を個人的には抱いています。

 さて以上のことは、教員の心得として当然にもっていなければならない資質ですが、この資質を新人教員に当てはめることはできません。まだ手探りの状態で、日々子どもたちと格闘しているのですから、仕事の効率化や時間の有効管理なんてものに、いちいち頭が回らないことが十分に想像できます。だから若い教員ほど「夜更かし」に陥りやすい…、最悪なのは、そんな若い教員に面倒な仕事を放り投げてさっさと帰ってしまうベテラン教員達の姿勢です。「オレも若い頃はそうだったから…」なんて時代錯誤的なことを言っているオジサン教員は、自分たちこそが実は職場をブラックにしている元凶であるってこと、自覚しているんでしょうか? 若い教員に仕事の効率的な進め方や時間の有効な使い方、生徒指導上のコツ、保護者への対応の仕方、そしてそもそも教員という職業への根本的な取り組み方など…、伝えなければならないノウハウが山ほどある中で、どうも今の学校現場には、それを文化として教え導こうとする気配がありません。ハッキリ言います。それは管理職のあり方が悪いのです。管理職が正しく教員を見つめていない、いや、正しく見つめ、教員を正しく導くための能力を彼らが与えられておらず、何事かが起こった場合の対処療法を学んでいるにすぎないのです。でなければ、神戸の小学校で起こったような教員による教員へのいじめなんかが発生するはずもなく、また発生しても皆が「見て見ぬ振り」をするような職場になるわけがないのです。

 つまりこのブログでは、そんな先輩諸教員が、半ば放棄しているところの後輩への学校業務時短化ノウハウの伝授、つまり、①仕事の効率化(時短化)は絶対にできる。②時間の有効活用には様々なアイデアがある。③教員としての「ものごとの考え方」(=認知のあり方)を鍛える…、をテーマに今後3回シリーズで綴っていきます。

 あなたの学校の先輩が教えないのであれば…、私が教えます。そしてその究極のゴールは、週に1日~2日は「定時で帰る!」です。 

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