「先生」をプロデュースする(2)

 学校の「先生」は、自身で演出しプロデュースしなければならない…。そしてその演出の仕方も小学校の「先生」と中学校の「先生」では自ずと違ったものになる…、というのが前回のブログの内容でした。自分の「素」のままの人格では中々「先生」は務まりませんね。だから意図的にプロデュースするのです。

 では高校生を扱う「先生」には、どんな演出が必要でしょうか? まずハッキリ言えるのは、高校生にでもなれば十分に大人を評価する素養が備わっている…、ということです。よってヘタな大人よりも「先生」を評価する能力は高いと思われます。なにしろ義務教育だけでも既に9年間もの間、至近距離で「先生」と付き合ってきているのですから、その「先生」が、先生として、または大人としてどのようなものであるのかについて、彼らは十分に観察し、教員に対する一家言をもっているのです。彼らの眼は節穴ではありません。自分たちにとってその「先生」(=大人)が有用な存在であるか否かについて、案外と的確に判定します。でもって有用でないと判定された「先生」とは、それこそ「大人の関係性」で適度な距離をもって付き合うのです。高校生を相手に彼らから「空気のような存在」と思われていたり、その言動がやたらと「スルー」されたりしている場合は、「大人の関係性」が機能していると考えてもいいでしょう。そしてそういった「先生」は、それだけの存在であり、それ以上でもなければ、それ以下でもありません。

 つまり高校生にとっての「先生」とは、「先生」という鎧をはずしたところの「大人としての一個人」のことであり、一個人の人格を指して便宜上「先生」と呼んでいるに過ぎない…、そう考えるといいでしょう。だから別段に、高校生からは「先生」と呼ばれなくても問題ないんです。「○○さん」って呼ばれても怒ったりしてはいけません。彼ら高校生と先生であるところの「○○さん」は、人格面では完全にフラットだからです。そこのところに気づいていない教員が、日本では多いように思います。彼らが便宜上「先生」と呼んでいるだけなのに、呼ばれた「先生」の方は、何か自分が特別な存在であるかのような錯覚をしてしまう…。小学校の「先生」のように、自身も「全知全能」でなければいけないような誤解をしてしまっている教員が案外多いんですね。

 「先生」の鎧をはずした時、あなた自身にはどんな「人格」が現れるんですか? その「人格」は、大人になりつつある(または既に大人になりきっている)高校生と正面から対峙してもヘタることなく、強靱に機能するのですか? もしもそれが強靱に鍛えられていないのであれば、まさにプロデュースしなければならないのは「人格の強靱化」です。なにも頑固で強面な教員を演出しろ…、と言っているわけではありません。例えば高校生100人の人格とまともにぶつかり合っても、あなたの人格が崩れることはない…、だがしかし、時にあなたの人格が大きく揺さぶられる瞬間が訪れることもあるかもしれません。高校生(=準大人)には、教員の人格を揺さぶるだけの至極まっとうな、または哲学に裏付けされたところの思想を既に獲得している者もいます。そういった生徒に出会った時、あなたがその正論(とも言える理論)を前にして頑なに人格を変えない、揺さぶられない…、のであれば、それはあなたの人格が「強靱」だからではありません。あなたの人格は、単に学校という閉鎖社会の中にあって固定観念にとらわれているだけであって、固い殻に覆われているだけのことです。

 「人格を強靱化する」というのは、まだまだ発展途上にある(何歳になってもです)私たちの人格を、一度、その固い殻から取り出して生身の状態に戻す…、そこから始めなければなりません。私たちが人格の内に納めなければならない「正義」は、実は時代とともにうつろいます。しかしそんな中にあっても決してうつろわない「普遍的正義」が必ず存在します。例えばかつての日本人が、皆そうであったような「先生は偉い」という前提(思い込み)は、今では「正義」とは言えませんね。「先生も人間だ」「先生も間違いを犯す」「先生も弱い」…、そんな前提が当たり前になってきている現在、それでも学校で伝えなければならない普遍的正義を、私たちは生徒に一つずつ丁寧にマーキングしていく必要があるのです。

 つまり先生の人格が強靱でなければならないのは、そういった社会の変化の中で、ものごとを柔軟に受け止め、その中から真の「正義」を炙り出す必要があるからです。よって強靱な人格を作り上げるには、柔軟な心持ちが不可欠です。鈍感は…、ダメです。デリケートな人格…、けれども風雨に耐えうる人格…、それが必要なのです。

 結論です。高校生を相手とする「先生」(教員)が、プロデュースするべきなのは、彼ら高校生よりも常に「少しだけ先」を見据えた「大人」に成長し続けるところの自分です。だから成長を止めた、現状に胡座をかいているだけの教員仲間(そういった教員は山ほどいます)とは、さっさと距離をおいて、あなた自身の成長を追いかけていくのです。そしてその先、遙か遠い先に、あなたが理想とする「先生」の姿を見つけてください。きっと見つかります。

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