「先生」をプロデュースする(1)

 学校の先生(教員)は、特殊な職業です。特殊であるからこそ、その「先生の見せ方」には気をくばるべきです。例えば20代、いや30代の若手教員にですら、その教員がそれまで身につけてきた人生における経験値は少ないのですから、全面的に子どもたちからの信頼を獲得するには、それなりの演出が必要となります。自分自身の「素」の状態を子どもたちに見せ続けるには、何といってもリスクがあり過ぎます。そこで今回は、小学校・中学校・高校別、そして年齢別に「先生」のプロデュースの仕方(私見)をお伝えします。

 小学校の低学年、つまり3年生頃までの子どもたちにとっての「先生」は、ある意味で「全知全能」であったほうがいいでしょう。社会性が身につく前の段階で、ものごとの良し悪しの判断をする際に、常にそれを判定する(ジャッジする)のが「先生の役目」だからです。事の良し悪しの判断、例えば子ども同士の喧嘩の仲裁や、いじめの判定、学級内トラブルなどに「先生」の明確なジャッジは、その秩序を保つためにも厳然と下されるべきです。毎時間の授業で「先生」から授かる新しい知識に決して「嘘」や「ごまかし」があってはならないのと同じように、日常生活における善悪の判定に「先生」は、決してブレてはならず、簡潔明瞭な言葉と態度で子どもたちを導くべきです。そしてこの段階の子どもたちを相手にする場合、一個の人間である教員は、「先生」の仮面を被り続けなければなりません。だからとても疲れます。極端に言えば、本来の自身のキャラと違った「先生」を演じることにもなりますから、子どもたちを前にしている時の教員は、微弱ではありますが常に張り詰めた糸を操るような緊張状態を強いられるのです。だから、そういった教員には、確実に肩の力を抜く(完全に抜ききる)ことができるOFFタイムが絶対に必要となります。その大切なOFFタイムの設定も、「先生」の重要な演出、つまりプロデュースによって行うべきです。

 小学生も4年生以降にでもなれば、単純に「先生」が「全知全能」であればいいわけではありません。社会性に興味を持ち始める子どもたちは、様々な手段をもってもっとも身近に存在する大人であるところの「先生」を試し始めます。「先生」は社会を知る(覗く)ためのちょうど良い相手となるわけですから、「全知全能」を鎧として子どもたちの言動を厳然とジャッジするだけでは不足します。「先生とて人間である」ことを徐々に理解させながら、教員個々の人格や個性を敢えて披露する…、そういった演出であってもいいのです。よっと時にはヘマもします。できないこともあることをバラしちゃいます。そうやって少しだけ「先生」と子どもたちがフラットな関係性になっていく方がいいと思われます。しかしこの年代の「先生」をプロデュースすることは、案外と難しいものです。一つだけ言えること…、それは「常に遊び心を忘れない」ことではないでしょうか。

 中学生と「先生」との関係性は、その(私個人の)考え方を以前にもご紹介しましたが、ハッキリ言って、現行の中学の「先生」は、本来あるべき姿の真逆をいってると言わざるを得ません。中学の3年間に生徒に学ばせるのは「社会性」…、この言葉に尽きます。高校受験のための勉強は、二次的な目的です。体を張って生徒に「社会性」を伝授することが「先生」の使命なのですから、体力的にも精神的にも中学の「先生」は大変です。しかし、この「体を張る」ことに誤解をしている教員も少なくないのです。「体を張る」ことは「押さえ込む」「支配する」ことではありません。自身でもどうにもならないエネルギーと体制批判能力を内在し始めた(これは健全な成長の証です)中学生は、確かに反社会的な言動をとることもあります。しかしそれを未然に防ごうとするあまりに、過度な「押さえ込み」と「全面支配」を持ち込んでいる中学のいかに多いことか…。「先生」の支配下で「良い子」になっているだけの生徒が過分に評価される(高校受験では有利になります)現行の中学の体質からは、残念ながら「活きのいい」「真に聡明な」子どもたちが育つとは思えません。「先生」のプロデュースの仕方が間違っているんです。「先生」が、学校という体制をガッチリと守るための教官に成り下がっているのです。もう一度、中学の教員は「先生」の本分を取り戻してください。生徒を「社会」へと上手に、丁寧に繋げてあげるための指導者になっていただきたいのです。そのためには「先生」が体制の守護者という立場から独立して、「個」を発揮する必要があります。そう、生徒に対峙するのは「個」を前面に押し出したところの「大人」…でいいのです。だから中学生には「先生」としてよりも、「一人の大人」として付き合ってあげてもいいのです。かれら中学生がギリギリのところで社会の秩序を保てる程度のヒントを与え続けて、多感な時期を過ごした中学生が、いずれは「理想の大人」として「先生」を思い出す…、そんな演出をしてみればいいのです。

 高校の教員(もう「先生」という表現は似合いません。理由は後述します)の理想的な立ち位置(あり方)と教員の年齢別の理想的な立ち位置(あり方)については、次回のブログで述べたいと思います。

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